AIツールが「なんか変な答えを返してくる」と感じたら|今日から始める動作確認3ステップ

公開日: 2026年05月23日
カテゴリ: AI基礎知識


経営者の方へ
AIツールは導入しただけでは効果が出ない。使い方のズレが放置されると、社員がAIを信用しなくなり、せっかくの投資が無駄になる。
まず今日、社内で使っているAIツールに同じ質問を3回入力して、答えが揃っているか確認してみてほしい。

AI推進担当者の方へ
「AIの回答がおかしい」という声が現場から上がるのは、ツールではなく使い方に問題があるケースが多い。
今月中に、社内のAI利用ルールと確認手順を1枚の紙にまとめて配布することを目指してほしい。
経営層への説明では「ツールの問題ではなく、使い方のルール整備で改善できます」と伝えると話が進みやすい。


この記事でわかること

  • 「AIが変な答えを返してくる」という現場の声が、なぜ起きているのかがわかる
  • AIの回答品質を自分でチェックする方法がわかる
  • 今日から使える動作確認の3ステップがわかる
  • 「ツールを変えるべきか、使い方を変えるべきか」の判断軸が持てる
  • 無料ツールで今日すぐ試せる確認手順がわかる

まず一言で言うと

要はAIも「聞き方が悪いと変な答えが返ってくる」ということです。新入社員に「いい感じにやっておいて」と指示しても困らせてしまうように、AIへの指示があいまいだと的外れな回答になります。ツールが壊れているのではなく、伝え方に工夫が必要なだけです。


この記事で出てくる言葉

言葉 一言で言うと 身近な例え
プロンプト AIへの指示文 部下への業務指示書
幻覚(ハルシネーション) AIが事実と違うことを自信満々に答える現象 自信ありげだが内容が間違っている報告書
ChatGPT OpenAIという会社が提供するAI会話ツール 何でも答えてくれるチャット相手
Gemini Googleが提供するAI会話ツール ChatGPTと同種のGoogleのチャット相手
Copilot Microsoftが提供するAI会話ツール WordやExcelに組み込まれているAI機能

なぜ「AIの回答がおかしい」ということが起きるのか

AIツールを試したことがある方から、こんな声を聞くことがあります。

「質問したら全然違う答えが返ってきた」
「さっきと同じことを聞いたのに違う答えになった」
「もっともらしく書いてあるけど、内容が間違っていた」

これはAIツールが壊れているわけではありません。

AIは毎回、質問の文脈を読み取りながら「推論」にて答えを生成しています。そのため、同じ内容でも聞き方が少し違うだけで、答えが変わることがあります。また、AIは「知らないことを知らない」とは言わず、それらしい答えを作り出してしまうことがあります。これが「幻覚(ハルシネーション)」と呼ばれる現象です。

「道具を使いこなすには使い方を知る必要がある」という当たり前のことが、AIでも同じように当てはまります。


製造業での使い方:作業手順書の下書きチェック

製造現場では、作業手順書の作成や更新に時間がかかっています。AIを使って下書きを作ると時間を短縮できますが、内容の正確さの確認が必要です。

試してみる手順

  1. 生成AIツールを開きチャット欄で、「〇〇の作業手順書を5ステップで作成してください」と入力する
  2. 出てきた内容を、実際の作業経験がある社員に見せて確認してもらう
  3. 「ここが違う」という箇所をメモして、次回の指示文に「〇〇に注意して」と加える

ポイント

AIが作った手順書をそのまま使うのではなく、「8割の下書きを作ってもらい、2割を人が直す」という使い方が現実的です。確認作業が必要という前提で使うと、期待のズレが生まれません。


小売業での使い方:商品説明文の複数案づくり

小売業では、商品のポップや販促文を書く作業が定期的に発生します。AIは「たたき台を複数出してもらう」使い方が特に効果的です。

試してみる手順

ステップ 操作内容 確認ポイント
1 「〇〇という商品の説明文を3パターン書いてください。対象は30代の女性です」と入力 3つ返ってきているか
2 3つを見比べて、気に入った表現を選ぶ 事実と合っているか確認
3 気に入った部分を組み合わせて仕上げる 価格・スペックの誤りがないか

最初から「完璧な1案」を求めるより、「選択肢を複数出してもらう」ほうがAIの得意な使い方に合っています。また、価格・商品名・スペックなどの事実情報は必ず人が確認する習慣をつけることが大切です。


士業・サービス業での使い方:お客様へのメール文の下書き

税理士事務所や社労士事務所では、お客様へのご案内メールや説明文を繰り返し作成する機会があります。

試してみる手順

  1. 「決算報告のご案内メールを丁寧な敬語で200字以内で書いてください」と入力する
  2. 出てきた文章を読んで、自社の雰囲気や言い回しに合わせて修正する
  3. 「うちらしい表現」に直した部分を記録しておく

この記録を積み重ねると、「うちの事務所の書き方」をAIに学ばせるための材料になります。たとえば「次回は『〇〇という表現を使わず、△△という言い方にしてください』」と指示に加えることができます。

WordやExcelと連携したAI活用については、WordもExcelもAIが「最初から入っている」時代へ——Claude for Microsoft 365で何が変わる?中小企業の実践的な使い方も参考になります。


フィノジェンの見解:AIの回答がおかしいときの「原因と対処」仕分け表

「AIの回答がおかしい」と感じたとき、原因は大きく3つに分かれます。自分でチェックしてみてください。

自己診断チェックリスト

□ 指示文が「いい感じに」「うまく」など、あいまいな言葉になっていた
  → 対処:「〇字以内で」「〇〇向けに」など条件を具体的に書き直す

□ 数字・日付・固有名詞が含まれていて、それが間違っていた
  → 対処:事実確認が必要な情報はAIに任せず、人が入力する

□ 同じ質問を繰り返したら毎回違う答えになった
  → 対処:答えのブレが問題になる用途にはAIを使わない。複数案を出してもらう用途に切り替える

□ AIが「できます」と言ったが実際はできなかった
  → 対処:重要な判断の前に、AIの答えを必ず別の方法で裏付けを取る

□ 社内のルールが決まっておらず、人によって使い方がバラバラ
  → 対処:「うちの会社のAI利用ルール」を1枚で作成して共有する

判断フロー:ツールを変えるべきか、使い方を変えるべきか

回答がおかしいと感じた
 ↓
事実の誤りがある?
 Yes → AIに事実確認を任せない。人が確認する工程を追加する
 No  → 指示文があいまいだった?
    Yes → 指示文を具体的に書き直して再試行する
    No  → 複数のツールで同じ質問を試してみる
        → それでも同じ問題が起きる場合のみ、ツールの見直しを検討する

多くの場合、ツールを変えなくても「指示文の書き方」を変えるだけで改善します。ツールの乗り換えは、使い方の改善を試してからでも遅くありません。

どのツールが自社に合うかの選び方については、ChatGPT・Gemini・Copilotどれを選ぶ?中小企業がAIツールを選ぶときに最初に確認すべき3つのポイントをご覧ください。


行動プラン

今週中にできること(お金ゼロ・1時間以内)
- ChatGPTという会話ツール(無料版)を開き、「〇〇業務の手順を5ステップで教えてください」と入力してみる。返ってきた内容の中に事実と違う点がないか確認する。
- 同じ質問を2〜3回繰り返して、答えがどのくらいブレるかを確認してみる。

今月中にできること
- 社内で最もAIを使っている人に「どんな使い方をしているか」を聞き、上手くいった指示文と失敗した指示文を集める。
- 「この業務にはAIを使う、この部分は人が確認する」という簡単な役割分担を紙1枚にまとめて共有する。

3か月後の理想像
社内でAIを使っている人が「うちではこう使うとうまくいく」という共通の型を持っている状態を目指しましょう。定型文作成や下書きに使う時間が週2〜3時間程度減り、その時間をお客様対応や判断が必要な仕事に使えるようになるイメージです。ルールと使い方の型が揃うと、新しく使い始めた社員も迷わず使えるようになります。


よくある不安・疑問

Q1. AIが間違えるなら、使わないほうが安全ではないですか?
完全に正しい答えしか使えないと考えると、AIの出番はほぼなくなります。「下書きを作る」「選択肢を出す」「時間のかかる作業の速度を上げる」という用途なら、最終確認を人が行うことで安全に使えます。ハンコを押す前に内容を確認するのと同じ感覚です。

Q2. 無料版と有料版で、回答の正確さは変わりますか?
回答の精度は有料版のほうが高い傾向があります。ただし、無料版でも「下書き作成」「アイデア出し」の用途では十分な場面が多くあります。まず無料版で使い方と効果を確認してから、有料版への移行を判断するのが現実的です。

Q3. 社員がAIに頼りすぎて、自分で考えなくなりませんか?
「最終判断は必ず人が行う」というルールを最初に決めておくことで防げます。AIは「考える補助」であり、「判断を代わりにやってもらう道具」ではないという認識を共有しておくことが大切です。社内ルールの作り方については、「勝手にAI使ってた」では済まない——警視庁も注意喚起、中小企業が今すぐ整えるべきAI利用ルールの3つの柱が参考になります。

Q4. うちは小さな会社なので、AIを使いこなせる気がしません。
AI活用を全社展開した会社も、最初は数人の小さな試みから始めています。「まず1つの業務で1人が試す」という小さな一歩で十分です。3人チームからの展開事例については、「3人のチームから全社展開へ」——製造業のAI活用が根付くまでにやったこと、やらなかったことをご覧ください。

Q5. ChatGPT・Gemini・Copilotのどれを使えばいいか、選び方がわかりません。
用途・使う場面・今使っているソフトとの相性で選ぶのが基本です。MicrosoftのWordやExcelを普段使っている場合は、Copilotというツールが連携しやすい傾向があります。選び方の詳しい基準は、ChatGPT・Gemini・Copilotどれを選ぶ?中小企業がAIツールを選ぶときに最初に確認すべき3つのポイントで整理しています。


参考文献

  1. ChatGPT 公式サイト - https://openai.com/chatgpt
  2. Gemini 公式サイト(Google) - https://gemini.google.com
  3. Microsoft Copilot 公式サイト - https://copilot.microsoft.com
  4. OpenAI - ChatGPTの使い方ガイド(公式ヘルプ) - https://help.openai.com/en/articles/6783457-chatgpt-faq
  5. Google - Gemini ヘルプセンター - https://support.google.com/gemini
  6. Microsoft - Copilot for Microsoft 365 概要 - https://learn.microsoft.com/ja-jp/copilot/microsoft-365/microsoft-365-copilot-overview
  7. 中小企業庁 - 中小企業のDX推進に関する調査(2023年度) - https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/dx/index.html
  8. 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)- 生成AIの業務利用における留意事項 - https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/generative-ai.html

この記事を書いたフィノジェンについて
フィノジェンは、AIを業務で使いこなしたい中小企業の経営者・推進担当者を支援しています。「理屈ではなく、今週から使える情報」をお届けすることを大切にしています。

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