専門家でなくても大丈夫。ChatGPTを「壁打ち相手」にして難題を解決する仕事術

 

公開日: 2026年04月27日
カテゴリ: AI基礎知識 / 業務活用


経営者の方へ
「AIはうちには関係ない」という思い込みが、社内の問題解決スピードに差をつけ始めています。
専門知識がない人でも、AIを「話し相手」として使うだけで、長年解けなかった課題が動き出すケースが世界で出てきています。
まず今日、生成AIという無料で使えるAIチャットツールを開いて「うちの会社のこんな困りごとを整理したい」と1行打ち込んでみてください。

AI推進担当者の方へ
社内で「AIって難しそう」という声が出るのは、「業務にどう使えばいいかわからない」という思い込みが原因であることが多いです。
今月中に、社内の誰か1人と「壁打ち役としてChatGPTを使う30分」を設けてみてください。
経営層への説明では「専門家でなくても世界レベルの成果が出た事例がある」という事実が、一番伝わりやすいポイントになります。


この記事でわかること

  • 「ChatGPTって何に使えるの?」という疑問にそのまま答えます
  • 専門知識がなくてもAIで問題解決できるのはなぜか、がわかります
  • AIを「壁打ち相手」として使う具体的な手順を学べます
  • 「うちの会社で使うなら何から始めればいいか」の判断ができるようになります
  • 今日から無料で試せる最初の一歩がわかります

まず一言で言うと

要は「賢い話し相手を雇った」ようなものです。自分の考えを生成AIという無料で使えるAIチャットツールに話しかけると、整理・反論・提案をすぐ返してくれます。60年間誰も解けなかった数学の難題を、専門家でない一般の人がこの方法で解いてしまったというニュースが、「AIは専門家だけのもの」という思い込みを変えつつあります。


この記事で出てくる言葉

言葉 一言で言うと 身近な例え
生成AI AIと文章で会話できるツール メールより速く答えてくれる物知りな相談相手
壁打ち 考えを話して反応をもらう行為 上司に「ちょっと聞いてもらえますか」と相談するイメージ
プロンプト AIへの話しかけ方・入力文 電話で「〇〇を教えてください」と言うときの言葉選び

なぜ今この話が経営者・推進担当者に関係するのか

2024年末、アメリカに住むアマチュアの数学愛好家が、60年間誰も解けなかった「エルデシュの散乱問題」という数学の難問を解いたと発表しました。使ったのはChatGPTという、誰でも無料で使えるAIチャットツールです。

この人は数学の研究者ではありません。それでも「AIに自分の考えを話して、返ってきた反応にまた答えて」を繰り返すことで、60年越しの答えを出しました。

この出来事が注目されているのは、「難しい問題を解くのに、資格や学歴は必ずしも必要ない」という事実を示したからです。中小企業の現場でも、長年「どうにもならない」と思っていた課題が、同じやり方で動き出す可能性があります。


製造現場での使い方:不良品の原因を整理する「壁打ち」

たとえば、製造業の現場でこんな困りごとがあるとします。「同じ工程なのに、月によって不良品の数が変わる。原因が特定できていない。」

こういうとき、生成AIへの話しかけ方(プロンプト)はこうです。


入力する文章(そのままコピーして使えます):

製造業の品質管理で困っています。毎月不良品の数が変わるのですが、原因が特定できません。考えられる原因を10個挙げて、確認しやすい順に並べてください。


ChatGPTはすぐに「原材料のロット違い」「気温・湿度の変化」「作業者の違い」などの候補を返してきます。

ここで大事なのは、返ってきた答えをそのまま信じるのではなく、「このうち、うちで確認できるのはどれか」を自分で選ぶことです。AIは「考えるきっかけ」を出してくれる相手で、最終判断は人間がします。

この「原因の候補出し」だけで、担当者が1人でゼロから考える時間を大幅に短縮できます。


小売業での使い方:売れない商品の陳列を見直す「壁打ち」

小売業でよくある困りごとは「この商品、仕入れたのに全然売れない。どうしたらいいかわからない」です。

このときの話しかけ方(プロンプト)はこちらです。


入力する文章:

小売店で仕入れた商品がなかなか売れません。商品は〇〇(例:スポーツドリンク)です。考えられる原因と、今週中に試せる対策をそれぞれ5つずつ教えてください。


生成AIは「陳列場所が目立たない」「価格帯が競合と比べて高い」「季節との相性が悪い」などを返してくれます。

さらに「この中で費用がかからないものだけ教えて」と続けて打ち込むと、絞り込んだ提案が出てきます。

これが「壁打ち」の使い方の本質です。一度で完璧な答えを求めるのではなく、「質問→返答→また質問」を繰り返して、自分の考えを整理していきます。


士業・サービス業での使い方:お客様へのお断り文を一緒に考える「壁打ち」

税理士事務所や社会保険労務士事務所、あるいはサービス業の事務担当者がよく困るのが「クレームへの返答文を作るのに時間がかかる」という問題です。


入力する文章:

お客様から「対応が遅い」とお叱りをいただきました。丁寧にお詫びしつつ、今後の改善策もお伝えする返答文を作ってください。文字数は200字以内でお願いします。


ChatGPTは数秒で返答文の案を出してくれます。「もう少し柔らかい言葉で」「もっと具体的な改善策を入れて」と続けるだけで、どんどん自分に合った文章に近づきます。

ゼロから文章を書くより、「案を直す」方がずっと早く終わります。このやり方に慣れると、1通あたりの作業時間が半分以下になることも珍しくありません。


フィノジェンの見解:「うちはどこから始めるか」を自分で決める4つの分類

ChatGPTをどこから試せばいいか迷っている方のために、自社がどの状況にあるかをチェックできる分類表を作りました。


ステップ1:当てはまるものに○をつけてください

確認事項 はい いいえ
毎週同じような文章を作る作業がある(報告書・メール・議事録など)  
「なぜこの問題が起きているか」の原因が整理できていない課題がある  
新しいアイデアを出す会議に時間がかかっている  
お客様への案内文・返答文に毎回時間を取られている  

ステップ2:○の数で始め方が変わります

○の数 おすすめの始め方
0個 まず今日、ChatGPTなどの生成AIを開いて「今日の夕食の献立を考えて」と打ち込んでみる。使い心地を体験するだけでOK
1〜2個 ○がついた業務の1つを選び、今週中に「壁打ち」を1回試す
3〜4個 複数の業務で使える可能性が高い。社内で1人担当を決めて、月に1業務ずつ試す

このチェックの答えを持って、社内で「まず1業務だけ試してみる」という話をするだけで、最初の一歩になります。


行動プラン

今週中にできること(お金ゼロ・1時間以内)
- ChatGPTという無料で使えるAIチャットツール(chat.openai.com)を開き、「うちの会社でよくある困りごと」を1つ文章にして打ち込んでみる
- 返ってきた答えを見て「使えそうなもの」と「使えないもの」に分けてみる。この仕分け自体が練習になります

今月中にできること
- 社内で「壁打ち役として試してみた」という話を、朝礼や打ち合わせで1回シェアする
- 「この業務でも使えるかな」と思ったものを1つ追加で試してみる

3か月後の理想像

毎週作っていた報告書や返答文の作成時間が、週3〜4時間から1時間台に縮まっています。「まず自分でChatGPTに聞いてみる」が社内の習慣になり、会議での「どうしようか」の時間が短くなっています。専門的な設定や工事は何もしていないのに、業務のスピードが変わった実感が出てきます。


よくある不安・疑問

Q1. 「難しそうで、自分には使いこなせない気がする」

入力するのは普通の日本語で大丈夫です。「〇〇について教えて」「〇〇を箇条書きにして」という話しかけ方で動きます。スマートフォンで検索するより難しいことは何もありません。世界中の60代・70代の方も日常的に使っています。

Q2. 「お金がかかるのでは?」

ChatGPTは無料プランがあり、この記事で紹介した使い方は全て無料の範囲で試せます。有料プランは月額3,000円前後ですが、まず無料版で十分です。試してから考えれば問題ありません。

Q3. 「入力した内容が外に漏れないか心配」

完全に機密性が高い情報(顧客の個人情報・契約内容など)はAIに入力しないルールを社内で決めておけば安心です。「一般的な困りごとの整理」「文章の下書き」「アイデア出し」など、個人情報が不要な用途から始めるのが確実です。

Q4. 「製造業には関係ない話では?」

この記事で紹介した不良品の原因整理の例のように、製造現場の「なぜ?」の整理にはむしろ向いています。設備の点検チェックリストを作る、作業手順書の文章を整える、といった用途でも使えます。

Q5. 「ChatGPTとGeminiどちらを選べばいいか?」

GeminiはGoogleが提供するAIチャットツールです。どちらも無料で試せるので、両方を同じ質問で試してみて、返ってきた答えが分かりやすかった方を使えばいいです。特別な理由がなければ、まずChatGPTから始めるのが使い方の情報が多くて探しやすいです。


参考文献

  1. Amateur mathematician solves 60-year-old problem using AI - New Scientist
    https://www.newscientist.com/article/2462100-amateur-mathematician-solves-60-year-old-problem-with-help-from-ai/
  2. ChatGPT公式サイト(OpenAI) - https://openai.com/chatgpt
  3. Gemini公式サイト(Google) - https://gemini.google.com
  4. 中小企業のDX推進に関する調査報告書 - 中小企業庁
    https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/dx/index.html
  5. 生成AIの業務活用に関する実態調査(2024年版) - 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
    https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-report.html
  6. AIツール活用事例集 - 独立行政法人中小企業基盤整備機構
    https://www.smrj.go.jp/
  7. ChatGPTを業務で使うときのセキュリティ注意点 - 総務省
    https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/index.html
  8. 生成AI利活用に係るガイドライン - 経済産業省
    https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ai/index.html

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